堕ちている時、私はなかなか前向きになれなかった。
活躍できる仕事さえあれば、
素敵な奥さんがいれば、
可愛い子供がいればと、
ありもしない自分の周りの状況を憂い、
他力でそれが変わればいいのにという夢のような考え方にすがっていた。
友達に相談に乗ってもらったり、
身内に長々と話ししたり、
クリニックで先生にすがったり、、、、
でも、誰も解決の答えは持ち合わせていなかった。
その場で自分の気持ちが少し落ち着いたり、薬をもらって少し安心したりしても、
根本的に自分自身の考え方や
周囲の状況が一変しないかぎりは、
何も解決しないんだ。
薄々それに気がついてはいるものの、
自力で切り開く勇気も根気も
無くしてしまっていたので、
ただ毎日が過ぎていき、
その無駄に過ぎ去る毎日に
また落ち込むという日々。
いまから考えれば、
自分が友達から相談を受けたとき、友の声に耳を傾けることはできても、それに答えて生き方を導いたり、生活費を工面したり、仕事を斡旋したりということは、なかなかできるものではない。
それに気がつき、次のように考えた。
病院、薬、カウンセリング、他人に悩みを打ち明ける、といったたぐいの他力本願の解決方法は、無いんだ。
自分自身が変わって、自分自身が次の場所へと向かわなければ、いつまでたっても楽しく生きられない。
誰も私の正しい生き方を知らないし、だれも私を正しい生き方へとは導いていくことなんてできないのだ。
そして、一時的に悩みは一層深まっていった。
しかしながら、自分で決めて自分で進むしか道はなかった。